パートナー企業との作家活動支援(制作支援)実施報告
作家活動支援事業として、アーティスト堀江和真の作品制作支援を実施しました。
本作品は、当財団の理念にご賛同いただいた、有限会社大久保工芸の全面的なご協力のもと、大型3DプリンターMassivit 1800Proを活用して制作されています。
当財団の参加した、横浜市主催「関内えきちか未来プロジェクト『大通り公園に、よりみちしよう。』」にて初披露しています。
作品解説
堀江和真の新作である《サンドイッチマンスタイルの展示方法》は、作家自身のスキャンデータから出力された人体スケールの造形物に、二点の絵画が提げられた作品です。掛けられた絵画《例えば街について あるいはそれにまつわるポエム》は、身体を挟むように、前面と背面に配置されています。
作家の身体と関連づけられた絵画は、絵画が身体的な描画行為の集積として現前するのだという即物的な一面を強調します。3Dプリンターによって出力された人体もまた、積層によって形づくられた痕跡を表面にありありと残し、本作品が時間/行為の堆積として成立していることを示唆しています。
あるいは、絵画と人体がつりあわされた造形は、体の大きさや腕の長さといった身体の有限性が、絵画の大きさや筆触の方向といった造形要素をも規定しているのだという事実をあらわにするようでもあります。
また、人体型の造形物は、作家と作品の結びつきを想起させる装置としてのみ機能するのでなく、作家と作品とその受容者(鑑賞者)との関係にも言及しているようです。サンドイッチマンと呼ばれる、宣伝用の看板を取り付けられた人間広告塔を模した佇まいが、作品受容とコマーシャリズム、その背後にある労働者としての作家、アートの産業構造についての思考を誘うフックとなっています。
(文・上久保直紀)
今後の展示予定
当財団の移動美術館プロジェクト「アート・トラック」において、2022年上旬に巡回開始予定の第二弾で、本作品を制作したアーティスト堀江和真が展示を行います。
当作品もアート・トラック展の中に組み込まれ、各地を巡回予定です。
制作協力 : 有限会社大久保工芸
制作協力いただくにあたっては、出力だけでなく、構想段階のご相談から全面的なご協力をいただいています。