空を描くと同時に雲を描き出す、雲を描くと同時に空を描き出す。「図と地」の関係をテーマにしたアート・ワークショップです。
絵の制作体験をベースに、小さな制作物を積み重ねて大きな作品を完成させる協働体験を楽しむことができるプログラムになっています。

おおまかな流れ

セッティング
画材(青〜緑の複数色のペン・マーカー、ポストカード大の白い紙)
絵を貼る支持体(網状のパーテーションやコルクボードなど)
1 雲の枠線を描く
参加者にペンと紙を配布し、雲を描いてもらう。
2 雲を白く残し、枠線の外を空色で塗る
空を塗ることで、白い地が雲として浮き立ってくるのを体感してもらう。
3 完成したを絵を一箇所に集め、並べていく
できた絵を並べて飾り、大きな空をつくっていく。1に戻り、制作のサイクルを回してもらう。

絵ってなんだろう? と考えてみると、わたしたちは自分たちの目の不思議に思い当たります。
絵とは、突き詰めて考えると、紙やカンヴァスといった支持体に、インクや絵の具などでつくった「染み」でしかないはずです。それなのにわたしたちは絵に、人の顔やリンゴや町並みを見たりしているのです。それは一番身近なところにあるイリュージョンと言えるかもしれません。


このワークショップでは、白い紙の白を残すことで雲を描き出します。
実はここにも絵にしかできないひっそりとしたイリュージョンが隠れています。
実際の青空を見上げたときのことを思い出してみてください。空の青を背景に、大気中の水がかたまってできる雲が、ぽっかりと浮かんでいるはずです。
ではこのワークショップで描く青空はどうでしょうか。なにも塗られずに残された白い部分が雲となって、ペンのインクの染みで表現された空の中に浮かび上がります。
これは実は、実際の空と雲の関係とあべこべになっているのです。本来なら確かな水分として空に浮かび、物質的に存在しているはずの雲が、絵の中では空白によって描き出され、むしろ反対に空がインクの加算によって表現されているということです。不思議な反転現象ではないでしょうか。
こんな反転現象は絵の中では簡単に起こります。画家はそれらを利用して作品を制作してきたのです。当たり前のようで、簡単なことのようで、よくよく考えると不思議な絵のイリュージョン。このワークショップで、楽しく体感してみてください。